井端 純一ホームアドバイザー代表取締役社長
消費型住宅社会からストック型住宅社会への移行を迫られる日本。住宅業界は内需拡大の柱であり続けることができるのだろうか?中古住宅の売買情報、リフォーム・リノベーション業者情報などを扱う中古住宅専門サイト「オウチーノ」、「リフォーム・オウチーノ」を開設し、中古住宅市場を活性化させているホームアドバイザー・井端純一社長に聞いた。

- いばた・じゅんいち
同志社大学文学部卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGAT SURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、ホームアドバイザーを設立し、新築物件・土地検索サイト「新築O-uccino,HomePLAZA」、中古物件検索サイト「O-uccino(オウチーノ)」、リフォーム業者入札サイト「リフォームO-uccino」をオープン。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通)など。
――住宅業界は、中古(既存)住宅を中心とした市場への転換期を迎えていると思うのだが?
マンションは1950年代半ばに誕生し、64年の東京オリンピックを契機に全国へ広まり、70年代にブームとまでいわれるようになった。住宅業界全体をみても、戦後の持ち家政策、高度経済成長を通じ、新築だけが優遇される政策がとられてきた。それによって今の大手ディベロッパーや住宅メーカーは強大な力をつけてきたのです。
そういったなか、2008年には日本の全家屋5759万戸のうち、空き家が756万戸もあるという、世界でも類をみない状況に陥っている。こんなに資源をムダにしていては、地球環境に相当のダメージを与えていると思います。
私は70年代に青春期を送った世代で、たしかに高度経済成長の果ての豊かな生活という恩恵を受けてきた。しかし、もう豊かさだけを求めている時代ではない。中古住宅の再生(リフォーム、リノベーション)が増えてきているのは、必然ではないかと思います。
現在、空き家となっている中古住宅、賃貸住宅は、地球の大切な資源が詰まっているもの――“地球庫”といってもいいかもしれない。中古をこれからどうするのかということは、国をあげて考えていかなければならない重要な課題ではないでしょうか?
リフォーム業者はメジャーでなくてよい
――そのためには、消費者が持つ新築至上主義も変えていかないといけないのだろうか?
気づいている消費者は、もう多いと思います。現在、住宅エコポイントの申請件数は、新築時よりもリフォーム時のほうが、はるかに多い。これはすでに、リフォームが注目されている証拠だといえます。
また、古着に抵抗感がなく、あたかも古着を買うように中古住宅を買い、自分なりにアレンジする若者も増えてきた。リフォーム業界も、システムを変化させ、若者たちのニーズにこたえるようになっていくのではないでしょうか。
私は、リフォーム業者はメジャーである必要はないと思っているのです。リーズナブルな価格で、それぞれの顧客のセンスに合った性能のよいものを作れる業者であればいいと。私どもも「リフォーム・オウチーノ」というサイトを立ち上げたのですが、実際にリフォームの実例を見ていくうちに、必ずしも大手だからいいものが作れるわけではないことを確信した。消費者も早く、それに気づいてほしい。
――中古住宅の流通において、問題点は何かあるのか?
危惧するところは、やはり、消費税ではないでしょうか。将来的には上がるのは避けられないでしょう。反対している政党もあるようですが、社会保障のことを考えると難しい問題です。不動産業界は、登録免許税、不動産取得税、固定資産税とただでさえ多くの税がかけられているのに、さらに消費税が上がるとあっては、流通自体が疲弊してしまうおそれがあります。
――打開策は考えられるか?
住宅というものが消費財かどうかを、もう一度考え直す必要があると思います。日本は、住宅建設を内需の柱にしている。ならば、住宅を非課税対象にするか、税の軽減対象にすべきではないか。特に今、政府は、新成長戦略に中古住宅流通の活性化を掲げているにもかかわらず、です。これでは、「どうぞ」といいながら裾を踏んでいるようなものです。米国、ドイツでは住宅の売買にかかる消費税は非課税。英国はゼロ税率。フランスではさらに、リフォームにかかる消費税も軽減したことで、リフォームの工事が急増したそうです。日本でも、欧米の政策のようになってくれるといいのですが。
――中古住宅はローンが組みづらいという問題もある。
日本の住宅の平均寿命は30年。米国55年、英国77年と、欧米とはかなり開きがある。日本でも近年、長期優良住宅など50年も100年ももつ家を建てているのに、住宅ローンはせいぜい35年。銀行は、これまで短いサイクルで貸し付けて大きな利益を得てきたから、こういうときには対応が遅い。一刻も早く、50年ローンを一般化してほしいですね。
日本は、世界に誇れる建築技術を持っている
――日本でも欧米と同じような、中古住宅が豊富な市場が現れるだろうか?
日本にはもともと、定期的に手入れさえしてやれば長持ちする、風土に合った木造建築の技術がある。法隆寺や正倉院にしても、1000年以上ももっているじゃないですか。それが20~30年したら建て替えるという新築信仰の影響もあって、建売業者をはじめ、安かろう悪かろうの住宅を乱造してきた。本来は世界に誇れる建築技術を持っているのだから、頑張っていいものを作れば、それが私たちの将来世代のストックとなる。良好な住宅ストックの普及こそが、海外のように中古住宅を循環させる近道だと思うのですが……。
――現在、ストックされている中古住宅は、どうすればよいか?
たとえばマンションでいうと、81年の新耐震基準が施行される以前のものでも、オーバースペックで建てられている良質なものがある。築年数が古いから価格を下げていくのではなく、それぞれの住宅の価値に見合う価格をつけていければ、消費者の見る目も変わってくるはずです。
また、現在は住宅再生のリフォーム、リノベーション技術が上がっているし、建築資材も長持ちするものが出てきている。それらを上手に使いながら耐震基準をクリアすることもできます。特に、建物価値のなくなった戸建てを手に入れて、リフォーム、リノベーションするのなんて、うまい方法だと思いますよ。
中古をリフォーム、リノベーションする工務店さんたちは、熱い気持ちを持って戦っている方が多い。私たちの会社は、辛口な面も含めて、その真の応援団でありたいですね。
(制作/ダイヤモンド社 企画制作チーム)
※この記事は、週刊ダイヤモンド別冊『最強の「中古」を探せ!』に掲載された、弊社代表井端のインタビューを転載した内容です。












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