井端 純一ホームアドバイザー代表取締役社長
- 大塚正彦
建築設計事務所経営
カイエ代表取締役
京都工芸繊維大学工学部住環境学科卒。大手ハウスメーカーで商品企画・技術開発に携わった後、一級建築士事務所正屋デザインシステマ設立。多数の都市狭小住宅設計を手がける。2006 年8 月、カイエ設立。新築やリフォームを問わず住まいのトータルプロデュースをテーマに活動を開始。「大改造!!劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日系列)はじめ多くのメディアにも出演。
――オープンな市場が中古の未来を拓く
大塚 大手ハウスメーカーの家などは、ロングライフが売りで、躯体(構造体)は100年もつよう造られています。しかし、それをリフォームできる業者が少ないのも問題です。ある人が建て替えるつもりで、大手ハウスメーカーの中古戸建てを買いました。知人から「耐久性のあるいい家だよ」と言われ、それならリフォームしようと思いたったのですが、リフォーム会社や工務店、建築家をいくつも当たったけれど、「ウチではできない」と断られたそうです。
井端 それはまずいですね。何か特殊な、メーカー独自の建材が入手できない、といった理由があったのですか。
大塚 いいえ、技術的な問題です。大手ハウスメーカーの家は工業化住宅であり、工場で生産された規格部材を使っていて、一定以上の品質基準を満たせば、工業化住宅性能認定制度の対象となります。各メーカーとも独自開発した技術で性能を高めているので、そのメーカーの人間でないとわからないことが多いのです。リフォーム業者も本当はそういう工事を手がけたいけれど、そのためには相当勉強しないといけない。そうでないと、梁1本外すにも、構造上問題がないか不安が残ります。
井端 造ったメーカーでないとリフォームできないとなると、ハウスメーカーの住宅と、木造在来工法の住宅とは別モノだと考える必要がありますね。
大塚 ハウスメーカーの住宅でも、主要構造部にかかわるリフォームでなければ大丈夫です。また、先ほど例で挙げた方については、たまたま私がそのハウスメーカーで商品開発をしていたので、私が引き受けて、大変喜んでいただけました。そうしたケースが皆無というわけではありませんが、やはり現状では造ったところにお願いするのが安心でしょう。
これに対し、従来の木造軸組工法は完全なオープンシステムなので、誰でも手が出せます。リフォームの際には、施主がそうした構造面の知識を持つことも必要です。また、今後は工業化住宅についても、各メーカーが情報開示して、もっとオープンな市場になることが求められるでしょう。
※この記事は、週刊ダイヤモンド別冊『極上「中古」を探せ!』を基にダイヤモンドオンラインに掲載された、弊社代表井端のインタビューを転載した内容です。